三回目

斡旋所に行くと、見慣れた装備の面々が顔を揃えていた。
顔ではなく、装備。そう、今回の斡旋は僧侶四人。
至上稀に見るバランスの悪いパーティーである。三回目にしてこの偶然を引き当てるとは…。


〜 中略 〜


何故こんなことになっているのだ?
自問自答しても始まらない。
スイッチを押さなかったのは誰にも均等に振りかかる責任だ。
部屋に入る前にグールを始末しなかったのも。
そう、私たちは窮地に立たされていた。
モンスター部屋に飛びこんだ際、倒し損ねたグールが部屋に入って中のモンスターと合流してしまったのだ。
それだけならまだ何とかなったのだろう。しかし私たちはスイッチを押し忘れるという致命的なミスまで犯してしまった。
結果、スイッチ開閉式の檻の向こうからスケルトンメイジに狙撃され、狭い通路でグール数匹と肉弾戦を繰り広げる事となった。
混乱し、次々と倒れていく同志たち。私自身も一度は意識を失った。
しかし私たちはこの程度の苦難で諦める訳にはいかないのだ。
必死に守りを固め、状況の打破を願っていると、一人の勇気ある僧侶が全方位に神気を撒き散らしながら開閉装置へと突進していった。
そうか、その手があったか!
そうこうしているうちにも鉄格子は跳ねあがり、勇者たちは猛然と亡者へと躍り掛かる。
その後の大勢が決するのに、さほど時間は要さなかった。


〜 中略 〜


大広間に出ると今回は一番右端の転送機が稼動状態となっていた。
前回、前々会は共に左端だ。
少し、不安がよぎったが、私にはこの間の冒険で培った自信がある。
そして、新たなる僕のダイアーウルフも。
この先に待ちうける敵がなんであれ、今の私がそう簡単に負けることなどないはずだ。


〜 中略 〜


倒れ伏すスケルトンナイトを前に、安堵の溜息をつく。
周りのメンバーは開始当初より一人欠けた二人。かくいう私も戦闘中、二度も地面にはいつくばる事となった。
一体原因はなんだったのだろうか。
最初に召還したコボルトウォーリアーも、続けて召還したダイアーウルフも。
その実力を発揮することなくマナへと還元されてしまった。
まさか遠距離攻撃がここまで驚異だったとは。最初に被弾した後、回復に専念しようと端に移動し、囲まれ切られる。
戦略ミスもあるかもしれない。しかしなにより相手に対する侮りが、ここまで苦戦を呼びこむ結果につながったのだろう。
私は唇をかみ締め、二度と油断することのないよう己を戒めたのだった。